先に結論を申し上げると「法定耐用年数」より「使用できる期間(経済的耐用年数)」が長い資産と言うことになります。
なぜ「減価償却を有効活用できる資産=経済的耐用年数が長い資産」となるのか?
それは税のコントロールが可能となるからです。
以下、その説明となります。
「法定耐用年数」と「経済的耐用年数」の違いとは?
- 法定耐用年数とは
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国税庁が設定した税法上の使用可能期間です。
減価償却資産の取得に要した金額(取得費)は、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の法定耐用年数の全期間にわたり分割して必要経費となります。
つまり、法定耐用年数とは減価償却費という必要経費を計上できる期間であり、法定耐用年数を超えた資産が利用できなくなる(価値がなくなる)わけではありません。 - 経済的耐用年数
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法定耐用年数とは別にその資産が実際に使える期間(市場での経済的価値がある期間)を指します。
経済的耐用年数の短い資産・長い資産とは?
- 経済的耐用年数の短い資産
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スマートフォンなどのIT機器です。スマートフォンは法定耐用年数が10年(スマートフォンをPCとして扱い4年とする場合もあります。)となりますが、2、3年も使用すればバッテリーの劣化も始まり、とても10年は使用できません。
このような「法定耐用年数>経済的耐用年数」の資産は税のコントロールには不向きであり、一括償却資産・少額減価償却資産としてその年に全額費用計上することになります。
- 経済的耐用年数の長い資産
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ヘリコプターや航空機が挙げられます。法定耐用年数は、ヘリコプター「5年」、飛行機「10年」となりますが、どちらも経済的耐用年数は「20年〜30年」、もしくわ、それ以上になる場合もあるでしょう。
法定耐用年数を経過した資産(中古資産)は、短期間での償却が可能となり、税のコントロールが可能となります。
航空機の例
航空機の中古市場やリース市場は非常に活発で法定耐用年数10年を経過した機体も普通に売買されています。下記の航空機を取得した場合を考えます。
- 取得価格:1億円
- 耐用年数:10年
- 経過年数:10年
- 償却期間:定率法1年、定額法2年
1億円で取得した航空機は定額法で2年(年間5,000万円)、定率法では1年(年間1億円)で償却(費用化)が可能となります。
仮に当期の利益が5,000万〜1億円だった場合に、納税額を0円にすることができ、税のコントロールが可能となる訳です。しかも航空機を保有している際はリース等の収入が毎年発生するのです。
もちろんこれは税の先送りであり、取得した資産を売却すれば売却益に対して税金が発生する訳ですが、赤字の期や大きな経費が発生した期にぶつけることで売却益に対する税金をある程度抑制する(コントロールする)ことが可能です。
そもそも航空機を購入しなければ発生したであろう税金や保有することで得られる収入、そして売却によるキャッシュインフローを考えれば、売却益に対する税金を支払っても損をすることはないはずです。
今回の例は航空機というあまり馴染みのないものですが、中古のヘリコプターなどは2,000万円〜3,000万円台も物もありますし、高級中古車でも同じスキームを利用することが可能です。